setup-firebase-hosting
静的サイト(SSG 出力・SPA・LP など)を Firebase Hosting へ公開し、main への push で自動デプロイされる状態までを構築します。
公開先は Spark プラン(請求先アカウント未紐付け)を既定とします。 請求手段が存在しないため、アクセスが集中しても課金が発生しません。
前提条件
必須:
gcloudCLI(未導入ならbrew install --cask google-cloud-sdk。PATH は/opt/homebrew/share/google-cloud-sdk/bin)ghCLI(認証済み)- Node.js(
npx firebase-toolsを使う)。firebase-toolsは固定版(FIREBASE_TOOLS_VERSION)で実行する。値と更新手順は「firebase-tools のバージョン固定と更新手順」節を参照 - 対象リポジトリが GitHub 上にあること
${SA_ID}@${PROJECT_ID}.iam.gserviceaccount.com(既定SA_ID=github-actions-hosting)は本スクリプトが作成・管理する専用サービスアカウントとし、他用途と共有しないこと(description は発行記録として本スクリプトが占有する)。 管理対象かどうかは email の一致ではなく description の管理証跡(マーカー)で判定する。新規作成した SA には作成直後に証跡を設定し、証跡の無い既存 SA に対しては description の上書き・鍵の管理へ進まず fail-closed で停止する(本スクリプト専用として引き受ける場合のみADOPT_EXISTING_SA=trueで明示的に採用する)。鍵の自動ローテーション(後述)の削除対象は「この SA の description(GCP 側の発行記録)に記録された鍵」だけに限定され、記録に無い鍵は削除されず一覧表示に留まる(fail-safe)
対象サイトの条件:
- 完全な静的サイトであること(サーバー処理・API・DB を持たない)。動的処理が要るなら Cloud Run 等を検討する(後述の「他サービスを選ばない理由」参照)
- ビルドコマンドを 1 つ叩けば出力ディレクトリ(
dist/等)が完成すること
sandbox 環境での実行について: bootstrap-firebase.sh は gcloud auth login のブラウザ認証・GCP/Firebase API 呼び出し・gh secret set などネットワーク越しの認証操作を必須とするため、sandbox(ネットワーク制限下)では実行できません。認証済みのローカル端末または CI 上で実行してください。firebase.json の作成やローカル検証(Step 3-4)はネットワーク不要なため sandbox でも実行可能です。
最初にユーザーへ確認すること
1. Firebase 利用規約の承諾(Google アカウントにつき 1 回・コンソールでしか行えない)
未承諾だと後続の addFirebase が 403 PERMISSION_DENIED で落ちます。先に済ませてください。 公式ドキュメントに明記された仕様上の制約です。
"Accepting the Firebase Terms is not possible using the Firebase CLI, REST API, or Terraform. It can only be done using the Firebase console." — Get started with Firebase using an existing Google Cloud project
https://console.firebase.google.com/ を開き、任意のプロジェクトを 1 つ作るか既存プロジェクトへ Firebase を追加して規約に同意します。
この 403 は IAM 権限不足と同じメッセージ(The caller does not have permission)を返すため区別がつきません。 切り分けは次で行えます。
curl -sS -X POST "https://cloudresourcemanager.googleapis.com/v1/projects/<PROJECT_ID>:testIamPermissions" \
-H "Authorization: Bearer $(gcloud auth print-access-token)" \
-H "x-goog-user-project: <PROJECT_ID>" -H "Content-Type: application/json" \
-d '{"permissions":["firebase.projects.update","resourcemanager.projects.get","serviceusage.services.enable","serviceusage.services.get"]}'
4 つすべてが返るのに addFirebase が 403 なら、原因は規約未承諾です。
2. プラン(Spark / Blaze)
既定は Spark。「勝手に課金されない」ことを最優先するなら唯一の選択肢です。
| Spark | Blaze | |
|---|---|---|
| 課金 | 請求手段が存在しない(構造的に 0 円) | 無料枠超過分を従量課金($0.15/GB) |
| 無料枠 | ストレージ 10 GB・転送 10 GB/月 | 同じ |
| 枠を超えたら | 短い猶予後にサイト無効化、翌月まで復旧しない | 停止しないが請求額に上限がない |
Blaze には上限を強制する手段がありません。 3 つとも使えないことを確認済みです。
- 予算アラートは止めない — 公式に "budgets and budget alerts do not cap your usage or charges"
- Cloud Spend Caps(ハードキャップ)は Gemini API / Gemini Enterprise Agent Platform / Cloud Run / Cloud Run functions のみ対応で、Firebase Hosting は対象外
- 予算通知 → Pub/Sub → Cloud Functions で請求無効化する定番の回避策は、無効化すると Spark 相当に戻る = 結局サイトが停止し、検知ラグ分は課金される
悪意ある大量アクセス(denial of wallet)でも被害は非対称です。Spark は金銭被害 0 円で「その月止まる」に限定(損害上限が確定)、Blaze は課金が続くうえサイトは止まらず攻撃者に配信し続けます。
3. サイト ID
公開 URL は Hosting サイト ID から決まります(プロジェクト ID ではありません)。 1 プロジェクトに複数サイトを置けるため両者は独立です。汎用プロジェクト配下にアイデア名のサイトを置く運用ができます。
- プロジェクト
myorg-notes+ サイトnotes→https://notes.web.app
サイト ID は全 Firebase で一意です。使用済みなら別の ID を選びます。
4. 独自ドメインを使うか
<site>.web.app なら完全に 0 円で DNS 操作も不要です。独自ドメインを使う場合、DNS レコード登録がレジストラ側の UI 操作として残ります。Cloud DNS を使えばコード管理できますが、$0.20/ゾーン/月の有料サービスで請求先アカウントが必須になり、Spark の保証が失われます。
SEO を積む予定があるなら早めに決めてください。ドメイン移行でコード変更は不要(後述の環境変数化)ですが、検索エンジンに蓄積した評価はリセットされます。
手順
Step 1: bootstrap スクリプトを配置して実行する
scripts/bootstrap-firebase.sh を対象リポジトリの tools/bootstrap-firebase.sh へコピーし、冒頭のプレースホルダを書き換えます。デプロイワークフローと再実行がこのパスを前提にします。
PROJECT_ID=__PROJECT_ID__ # 例: myorg-<project>
SITE_ID=__SITE_ID__ # 例: <idea>。公開 URL は https://<SITE_ID>.web.app
GITHUB_REPO=__OWNER__/__REPO__ # Secret / 変数の登録先
書き換えないまま実行すると先頭の安全弁で止まります。 PROJECT_ID のプロジェクトが存在しなければ新規作成する挙動のため、プレースホルダのまま走らせると意図しないプロジェクトができるためです(実際にやりました)。
gcloud auth login # ブラウザ認証(初回のみ・自動化不可)
bash tools/bootstrap-firebase.sh # 冪等。再実行しても安全
スクリプトが行うこと:
- GCP プロジェクトを確認・作成(請求先アカウントを紐付けない = Spark 固定)し、
billingEnabledがFalseと判定できなければ fail-closed で停止する(未紐付けと決めつけない)。意図的に Blaze で進める場合のみALLOW_BLAZE=trueを付けて明示的に承認する firebase/firebasehosting/cloudresourcemanager/serviceusage/iamの API を有効化- Firebase Management API で Firebase を追加。
addFirebaseが 403 の場合は必要 4 権限(firebase.projects.update/resourcemanager.projects.get/serviceusage.services.enable/serviceusage.services.get)すべてをtestIamPermissionsで実測し、不足があれば不足権限を列挙、すべて揃っていれば規約未承諾の可能性を案内する(決め打ちしない)。Hosting API でサイトを作成。作成が 409(already exists)の場合は自プロジェクト配下にサイトの存在を確認できたときのみ冪等成功とみなし、別プロジェクトが同じサイト ID を取得済みなら別 ID を求めて停止する - CI 用サービスアカウントを作成し最小ロールを付与(
roles/firebasehosting.admin+roles/serviceusage.apiKeysViewer) - 新規鍵を発行 → 鍵 ID を発行記録(専用 SA の description。GCP 側の記録で、書き換えに GCP IAM の書き込み権限を要する)へ追記 →
gh secret set FIREBASE_SERVICE_ACCOUNT→ 登録成功後、発行記録にある旧 USER_MANAGED 鍵のみを削除(10 個上限対策の世代交代)。SA 鍵自体にはメタデータが無く「本スクリプトが発行した鍵か」を鍵単体では検証できないため、削除権限の根拠を GCP 側の発行記録に限定する。GitHub 側で編集可能な情報(Actions 変数等)は、改ざんが実行者の GCP 権限を通じて有効鍵の失効へ波及するため削除根拠にしない。記録に無い鍵(手動発行・他ツール発行の可能性)は削除せず一覧表示してユーザー判断に委ねる(fail-safe)。記録への追記は Secret 登録より先・旧鍵の削除は登録成功後に行い、さらに Secret 登録が完了する前に異常終了した場合は今回発行した鍵自体を削除してロールバックする(今回の鍵は確実にこの実行の所有物のため。失敗のたびに利用不能な有効鍵が蓄積しない)。鍵数が GCP 上限(USER_MANAGED 10 個)に達している場合は発行記録にある旧鍵(最後に記録した鍵 = 現行 Secret が指す可能性が高い鍵を除く)のみを先に削除して空きを作り、記録にある鍵で空きを作れなければ削除せず停止して手動整理を案内する。無効化したい場合はROTATE_EXISTING_KEYS=falseを指定する(上限到達時の事前削除にも適用され、その場合は削除せず停止して手動整理を案内する)。最後に手元の鍵ファイルを削除(trap で異常終了時も) gh variable set FIREBASE_PROJECT_ID/FIREBASE_SITE_ID、.firebasercを生成
Firebase の追加とサイト作成は firebase CLI ではなく REST API を gcloud のトークンで直接叩きます。 firebase CLI は gcloud と別の認証情報を持つため、CLI を使うとブラウザ認証がもう 1 回増えるためです。API 呼び出しには x-goog-user-project: <PROJECT_ID> ヘッダが必須です。gcloud のユーザー認証情報はクォータ課金先を持たず、これがないと gcloud 自身のクライアントプロジェクトが consumer とみなされて 403 SERVICE_DISABLED になります。
付けないロールにも意味があります。Auth も Cloud Run rewrites も使わない前提なので roles/firebaseauth.admin / roles/run.viewer は付けません。その結果デプロイ時に Unable to add channel domain to Firebase Auth という警告が出ますが無害です。
Step 2: ベース URL をビルド時の環境変数にする
canonical・OGP・sitemap・JSON-LD の絶対 URL は 1 箇所から生成し、固定値を書かないでください。独自ドメインへ移行してもコード変更が不要になります。
Rust の例:
pub const BASE_URL: &str = match option_env!("SITE_BASE_URL") {
Some(url) => url,
None => "https://<site-id>.web.app",
};
// build.rs — これがないと target/ を再利用する self-hosted ランナーで
// 「環境変数を変えたのに古い canonical が出力され続ける」状態になる
fn main() {
println!("cargo:rerun-if-env-changed=SITE_BASE_URL");
}
他のスタックでも同様に、ビルドキャッシュが環境変数の変更を検知することを確認してください。
Step 3: firebase.json を作る
{
"hosting": {
"site": "<site-id>",
"public": "dist",
"trailingSlash": false,
"cleanUrls": false,
"ignore": ["firebase.json", "**/.*"],
"headers": [
{
"source": "**",
"headers": [{ "key": "Cache-Control", "value": "public, max-age=3600" }]
},
{
"source": "/sw.js",
"headers": [{ "key": "Cache-Control", "value": "no-cache" }]
},
{
"source": "/static/**",
"headers": [
{ "key": "Cache-Control", "value": "public, max-age=0, must-revalidate" }
]
}
]
},
"emulators": {
"hosting": { "port": 5002 },
"singleProjectMode": true
}
}
守るべき点:
trailingSlash: false— canonical を末尾スラッシュなしで出しているなら必須。既定は/about/に正規化するため、放置すると全ページで canonical と実 URL が 301 1 回分ずれます。逆に canonical が末尾スラッシュありなら指定不要ですheadersは後方のエントリが勝ちます。 catch-all**を先頭に置き、個別指定を後ろに並べます。また HTML ページのリクエストパスは拡張子なし(/about)なので**/*.htmlではマッチしません。catch-all で拾ってください- ファイル名にコンテンツハッシュがないアセットに
immutableを付けない。 更新が永久に届かなくなります。max-age=0, must-revalidateなら 304 で済み転送量もほぼ消費しません - Service Worker を使うなら
/sw.jsはno-cache。 SW スクリプト本体がキャッシュされるとキャッシュ世代管理が機能せず、利用者が古いビルドに固定されます trailingSlash: falseの既知の無限リダイレクト(superstatic#235)—X.htmlとX/index.htmlが共存すると発生します。出力に衝突がないか確認してください- macOS では 5000 番を ControlCenter(AirPlay Receiver)が占有するため、エミュレータのポートを変えておきます
Step 4: ローカルで配信設定を検証する(GCP アカウント不要)
firebase emulators:start は本番と同じ superstatic エンジンで firebase.json を解釈します。デプロイ前にここで確定できます。
# firebase-tools は固定版でのみ実行する(未固定 npx はレジストリ乗っ取り時の
# 任意コード実行経路になる)。正の定義箇所・更新手順は下記
# 「firebase-tools のバージョン固定と更新手順」節を参照。
FIREBASE_TOOLS_VERSION="15.27.0" # 正の定義箇所。更新手順は下記節を参照
npx --yes "firebase-tools@${FIREBASE_TOOLS_VERSION}" emulators:start --only hosting --project demo-<name> || {
echo "エラー: firebase-tools@${FIREBASE_TOOLS_VERSION} の実行が失敗しました(該当版の不存在・レジストリ障害等、原因は問わない)。未固定 npx firebase-tools へのフォールバックは行わない。原因を確認してから再実行する。" >&2
exit 1
}
curl で確認する項目:
B=http://127.0.0.1:5002
curl -s -o /dev/null -w '%{http_code}\n' "$B/about" # 200(リダイレクトなし)
curl -s -o /dev/null -w '%{http_code} %{redirect_url}\n' "$B/about/" # 301 → /about
curl -sI "$B/sw.js" | grep -i cache-control # no-cache
# .wasm は URL にグロブを使えないため、出力ディレクトリから実在する成果物のパスを特定して確認する
# 例: wasm_file="$(find <出力ディレクトリ> -name '*.wasm' -print -quit)" → そのパスを URL に変換して確認
curl -s -o /dev/null -w '%{content_type}\n' "$B/<実在する成果物のパス>.wasm" # application/wasm
curl -s -o /dev/null -w '%{http_code} redirects=%{num_redirects}\n' -L "$B/about/" # 無限リダイレクトがないこと
Step 5: デプロイワークフローを置く
.github/workflows/deploy.yml。以下は Rust + wasm の例です。ビルド部分は対象プロジェクトに合わせて差し替えてください。
デプロイ対象ブランチは対象リポジトリの既定ブランチへ必ず合わせてください(必須の置き換え項目)。 本スキルの例・説明は既定ブランチを main と表記します。gh repo view <owner>/<repo> --json defaultBranchRef -q .defaultBranchRef.name で実際の既定ブランチを確認し、master 等 main 以外の場合は workflow 生成時に例中の main / refs/heads/main(on.push.branches・deploy job の if・デプロイ step の if)をすべて置き換えます。置き換えないと、マージしても本番デプロイが一度も実行されません。
runner は組織の runner-policy(Fandhe-AI/actions の docs/runner-policy.md)に従います。public リポジトリは GitHub ホステッド runner(ubuntu-latest 等)を使い、pull_request で未信頼コードを self-hosted 上で実行しません。 private リポジトリで self-hosted を使う場合も、pull_request_target の使用や secret を扱う job との信頼境界には注意し、runner-policy.md の手順に従ってください。
build job と deploy job を分離しています。 pull_request では PR 側の未信頼コード(cargo run / cargo test)が実行されるため、この job には write 権限のトークンも Firebase の secret も渡しません(persist-credentials: false で actions/checkout の資格情報も残しません)。checks: write や FIREBASE_SERVICE_ACCOUNT を扱う deploy job は push: main と workflow_dispatch のみで実行します。同一 job・同一イベントで未信頼コードと書き込み権限トークンを同居させると、悪意ある PR がビルド中に GITHUB_TOKEN や secret を窃取・悪用できてしまうためです。
pull_request では build job のみ実行し、プレビューデプロイは行いません。 PR 起動の workflow に FIREBASE_SERVICE_ACCOUNT や write 権限の GITHUB_TOKEN を渡すと、悪意ある PR(firebase.json の predeploy hook 改変等)による secret 窃取の攻撃面が生まれるためです。この結果、PR の内容は build job の成功をもって確認し、実際の配信結果はマージ後の本番デプロイで確認します(セキュア・バイ・デフォルトを優先した意図的な制約です)。プレビューデプロイが必要になった場合も、PR 起動の job には secret・write 権限を渡さない構成(信頼境界の再設計)を先に検討してください。
name: デプロイ
on:
push:
branches: [main] # 必須: 対象リポジトリの既定ブランチへ置き換える
pull_request:
workflow_dispatch:
concurrency:
group: deploy-${{ github.ref }}
cancel-in-progress: true
env:
SITE_BASE_URL: https://${{ vars.FIREBASE_SITE_ID || '<site-id>' }}.web.app
jobs:
# 未信頼な PR コードをビルド・テストする job。write 権限のトークンも
# Firebase の secret も渡さない(persist-credentials: false で checkout の
# 資格情報も残さない)。
build:
runs-on: ubuntu-latest
permissions:
contents: read
steps:
- uses: actions/checkout@11d5960a326750d5838078e36cf38b85af677262 # v4.4.0
with:
persist-credentials: false
- name: 前提の確認(fail-closed)
# 変数は run: へ ${{ }} で直接埋め込まず、env: 経由で環境変数として
# 渡す。式展開はシェルの解析前に行われるため、直接埋め込むと変数値に
# 仕込まれた文字列(例: `"; <command>; #`)が引用符を脱出して任意
# コマンド実行になる(インジェクション)。
env:
FIREBASE_PROJECT_ID: ${{ vars.FIREBASE_PROJECT_ID }}
FIREBASE_SITE_ID: ${{ vars.FIREBASE_SITE_ID }}
run: |
test -n "${FIREBASE_PROJECT_ID}" \
|| { echo "FIREBASE_PROJECT_ID が未設定です。tools/bootstrap-firebase.sh を実行してください。"; exit 1; }
test -n "${FIREBASE_SITE_ID}" \
|| { echo "FIREBASE_SITE_ID が未設定です。"; exit 1; }
# GitHub ホステッド runner は毎回まっさらな環境のため ~/.cargo/bin が PATH に無い
- name: ツールチェーンを用意
run: |
echo "$HOME/.cargo/bin" >> "$GITHUB_PATH"
export PATH="$HOME/.cargo/bin:$PATH"
# 例: rustup target add wasm32-unknown-unknown / cargo install ...
- name: ビルド
run: cargo run --release # ← プロジェクトに合わせる
- name: テスト
run: cargo test --release # ← プロジェクトに合わせる
- name: 出力の検証
run: |
# ドメインは「リポジトリ変数」と突き合わせる。出力から推定した値と
# 比べる検証(sitemap 自身からベース URL を読む等)は、値が誤って
# いても必ず PASS するため意味がない
# -F で固定文字列として比較する(既定の正規表現解釈だと URL 中の
# `.` が任意文字に一致し、誤ったドメインでも検証を通過し得る)
grep -Fq -- "${SITE_BASE_URL}" dist/sitemap.xml \
|| { echo "sitemap.xml に ${SITE_BASE_URL} がありません(ビルドキャッシュが古い可能性)"; exit 1; }
! grep -Fq -- "example.com" dist/sitemap.xml \
|| { echo "プレースホルダのドメインが残っています"; exit 1; }
# 別ステップで生成する成果物(wasm 等)の欠落は静的チェックでは
# 検出できないことが多い。存在を明示的に確認する
# test -f dist/static/wasm/<name>_bg.wasm || { echo "wasm がありません"; exit 1; }
- name: 成果物をアップロード
uses: actions/upload-artifact@ea165f8d65b6e75b540449e92b4886f43607fa02 # v4.6.2
with:
name: dist
path: dist/
retention-days: 1
# secret と書き込み権限トークンを扱う job。未信頼コードは一切実行せず、
# build job が作った成果物を配信するだけに限定する。
# pull_request では実行しない(PR 起動の job には secret・write 権限を
# 渡さない)。workflow_dispatch を非 main ブランチから実行しても live へ
# デプロイしないよう ref ゲートも掛ける。
deploy:
needs: build
if: github.event_name != 'pull_request' && github.ref == 'refs/heads/main'
runs-on: ubuntu-latest
permissions:
contents: read
# action-hosting-deploy は結果を check-run として作成する。permissions を
# 明示すると未列挙のスコープは none になるため、checks を落とすと 403
# (Resource not accessible by integration)でデプロイ前に落ちる。
checks: write
steps:
# firebase.json(Step 3 で作成)を読み込むためリポジトリを checkout する。
# この job は main(信頼済み revision)でのみ実行される。
# checkout はデフォルトで作業ディレクトリをクリーンにするので、必ず
# download-artifact より前に実行する。
- uses: actions/checkout@11d5960a326750d5838078e36cf38b85af677262 # v4.4.0
with:
persist-credentials: false
- name: 成果物をダウンロード
uses: actions/download-artifact@d3f86a106a0bac45b974a628896c90dbdf5c8093 # v4.3.0
with:
name: dist
path: dist/
- name: 本番チャンネルへデプロイ(main)
# job 側の if と重複するが、防御多層として step 側にも ref ゲートを
# 明示する(job の条件が編集で緩められても live 直行を防ぐ)。
if: github.event_name != 'pull_request' && github.ref == 'refs/heads/main'
uses: FirebaseExtended/action-hosting-deploy@500ac625ca2dd40cbd15f7659af953801858032a # v0.11.0
with:
repoToken: ${{ secrets.GITHUB_TOKEN }}
firebaseServiceAccount: ${{ secrets.FIREBASE_SERVICE_ACCOUNT }}
projectId: ${{ vars.FIREBASE_PROJECT_ID }}
channelId: live
設計上の要点:
- PR 起動 workflow には secret・write 権限を渡さない。
pull_requestイベントで動く job は PR 側の未信頼コードを実行しうるため、FIREBASE_SERVICE_ACCOUNT等の secret や write 権限のGITHUB_TOKENを持たせない。deploy job はpush: mainとworkflow_dispatchに限定する - live デプロイは
github.ref == 'refs/heads/main'(既定ブランチの ref)でもゲートする。 イベント種別の条件だけだとworkflow_dispatchを既定ブランチ以外から実行したときに live へデプロイできてしまう。トリガーを絞った後も ref ゲートを防御多層として必ず入れる(既定ブランチがmain以外なら ref も併せて置き換える) - デプロイ先が未設定なら落とす(スキップしない)。 スキップすると「CI は緑なのにサイトが更新されない」状態を検知できません
- ドメイン検証は独立した情報源(リポジトリ変数)と突き合わせる。 ビルド出力から期待値を導く検証は、値が誤っていても必ず PASS します。このセッションで唯一「静かに壊れる」性質のバグでした
- 実装専用リポジトリならパスフィルタは不要。モノレポに置くなら
paths:で絞ります
Step 6: CI 経由で実際にデプロイされることを確認する
ローカルからの firebase deploy が通っても、CI 経路が通る証明にはなりません。 PR を 1 本作り、build job(ビルド・テスト・出力検証)が緑になることを確認してください。そのうえでマージし、deploy job が実行されて本番チャンネルが更新されることを確認します(PR ではプレビューデプロイを行わない構成のため、配信結果の確認はマージ後に行います)。
# 固定版は Step 4 と同一値(FIREBASE_TOOLS_VERSION)。コードフェンスは独立シェルで
# 実行され得るため、このフェンス内でも代入を実行行に先行させる。
FIREBASE_TOOLS_VERSION="15.27.0" # 正の定義箇所は「firebase-tools のバージョン固定と更新手順」節
npx --yes "firebase-tools@${FIREBASE_TOOLS_VERSION}" hosting:channel:list --project <project-id> --site <site-id> || {
echo "エラー: firebase-tools@${FIREBASE_TOOLS_VERSION} の実行が失敗しました(該当版の不存在・レジストリ障害等、原因は問わない)。未固定 npx firebase-tools へのフォールバックは行わない。原因を確認してから再実行する。" >&2
exit 1
}
live の Last Release Time が CI 実行時刻に更新されていれば完了です。
firebase-tools のバージョン固定と更新手順
Why: npx firebase-tools をバージョン未固定で実行すると、npx はローカルキャッシュに無い場合レジストリのその時点の最新版を確認なしで即時取得・実行する。firebase-tools(firebase/firebase-tools)パッケージが乗っ取られた場合、これは任意コード実行の経路になる。exact 版(X.Y.Z。dist-tag・^/~ レンジは禁止)への固定が信頼アンカーになる。
固定版の決め方:
npm view firebase-tools versionで現在の latest を確認するnpm view firebase-tools repository.urlがfirebase/firebase-toolsであることを確認するnpm view firebase-tools time --json等で公開日時が不自然でないことを確認する
更新手順:
- Step 4 フェンス・Step 6 フェンスの両方の
FIREBASE_TOOLS_VERSIONを同一コミットで更新する(値は完全一致させる。実行フェンスが独立シェルで実行され得るため両フェンスに代入が必要) node --test skills/setup-firebase-hosting/tests/*.mjsで exact semver・全出現一致・実行行の固定を検証する- 1 リポジトリで実際に実行し、差分が正常であることを確認する
chore(setup-firebase-hosting): firebase-tools を X.Y.Z へ更新でコミットする
fail-closed: 固定版が解決できない場合(該当版の不存在・レジストリ障害等どの原因でも)は npx が非ゼロ終了し停止する。未固定 npx firebase-tools へのフォールバック再試行は行わない。
参考: bootstrap-firebase.sh(Step 1 で実行するスクリプト)は Firebase 追加・サイト作成を firebase CLI ではなく REST API を gcloud のトークンで直接叩く設計であり、npx 実行行は持たない(本節の対象外)。
よくある失敗と原因
| 症状 | 原因 |
|---|---|
addFirebase が 403 The caller does not have permission |
Firebase 利用規約が未承諾(IAM 不足と同じ文言。testIamPermissions で切り分け) |
403 SERVICE_DISABLED / requires a quota project |
API 呼び出しに x-goog-user-project ヘッダがない |
デプロイ step が 403 Resource not accessible by integration |
permissions に checks: write がない |
CI だけ command not found(ローカルは通る) |
self-hosted ランナーの PATH に ~/.cargo/bin がない |
| CI は緑なのにサイトが更新されない | デプロイ step がスキップされている(変数未設定を fail にしていない) |
| canonical と実 URL が 301 ずれる | trailingSlash の設定が canonical の形式と食い違っている |
| 更新したのに古い JS/CSS/wasm が配信され続ける | コンテンツハッシュのないファイル名に immutable を付けている |
デプロイ時に Unable to add channel domain to Firebase Auth |
Auth 用ロールを付けていないため。Auth を使わないなら無害 |
他の GCP サービスを選ばない理由
日本向けサービスの場合、いずれもコストではなく地理的制約で不適合です。
| サービス | 不適合の理由 |
|---|---|
| Cloud Storage 静的ホスティング | 無料枠が us-east1 / us-west1 / us-central1 限定。HTTPS には Cloud Load Balancing(月 $18 前後)が必須で無料にならない |
| Cloud Run | 無料の下り転送が北米からの 1 GB/月のみ。東京リージョン配信は 1 リクエスト目から課金対象 |
| App Engine スタンダード | 下り転送が 1 GB/日で Firebase Hosting より厳しく、静的配信にインスタンス時間を消費する |
自動化できない操作
| 操作 | 理由 |
|---|---|
gcloud auth login |
ブラウザ同意。Google アカウントにつき 1 回 |
| Firebase 利用規約の承諾 | コンソール専用(公式ドキュメントに明記) |
| 独自ドメインの DNS レコード登録 | レジストラ側の操作。Cloud DNS は有料で Spark の保証が失われる |
鍵管理の将来方針
鍵ベース認証(本スクリプトの発行記録方式)は削除根拠を GCP 側に限定する設計だが、鍵そのものの発行・失効・ローテーションという運用コストは残る。Workload Identity Federation(OIDC)へ移行すれば長期有効な鍵を発行しない構成にできるため、鍵管理の必要性自体を解消する根本解決になる。本スキルは構成の単純さを優先して鍵 + 発行記録方式を採るが、長期運用では WIF 移行を検討する。
関連
- 構築後の運用(データ鮮度チェック等の週次 CI)は各プロジェクトで用意する
- コミット・PR は
create-commit/create-prを使う