経験の棚卸し
応募書類を書く前に、これまでの経験を事実として洗い出す。各経験を状況・自分の行動・結果・役割に分け、その主張が何に基づくのか(公開情報、手元の資料、当時を知る人、記憶だけ)を記録する。強みの判定、適性の診断、完成文の作成は行わない。
進め方
- 在籍期間を先に並べる。 会社、部署、期間を確定する。ここが埋まらないうちに個別の経験に入らない。新卒の場合は学業、部活・サークル、アルバイト、インターン、個人の活動を並べる。
- 期間ごとに担当した仕事を並べる。成果が出たものだけを選ばない。 日常の業務、うまくいかなかったこと、引き継いだこと、やめたことも並べる。選別は応募先が決まってから行う。
- 棚卸しの進め方 に従って、各経験を状況・行動・結果・役割に分解する。書けない項目があることが結果である。 埋めるために推測を書かない。「チームで達成した」を「自分が達成した」に書き換えない。
- 経験ごとに裏づけを確認する。公開されているか、手元の資料で確認できるか、当時を知る人がいるか、記憶だけか。数値については、経験全体とは別に裏づけを確認する。覚えている数値と確認した数値を混ぜない。
python3 scripts/check_inventory_coverage.py <input.json>で、不足している項目、裏づけの弱い経験、棚卸しできていない在籍期間、種類の偏りを機械的に確認する。入力形式は 棚卸しの進め方 を見る。- 現職・前職の非公開情報を含む経験に印を付け、抽象化できるかを先に決める。抽象化できないものは、使わない選択肢も残す。
- 報告書形式 に従って、棚卸しの進み具合、経験の一覧、裏づけの確認が必要なもの、利用者への質問を出す。埋まっていない項目は、埋まっていないまま次に渡す。
- 次に渡す先を示す。書類を書くなら
entry-sheet-review、面接の準備ならinterview-prep、求人の要件との突き合わせならjob-posting-analysis。
判断上の制約
- 強み、適性、向いている職種、性格を判定しない。 「あなたはこういう人だ」という要約を書かない。性格類型や診断の枠組みに当てはめない。示せるのは、洗い出した事実と、その裏づけと、まだ埋まっていない項目までである。
- 経験、数値、役職、資格を創作しない。 利用者が話していないことを、補完として書かない。空欄は空欄のまま残す。
- 推測で埋めた案を「たたき台」として出さない。たたき台があると、利用者はそれを事実として確認せずに使う。質問の形で返す。
- 応募書類に使える完成文をここで作らない。棚卸しの成果物は事実の一覧であり、文章に整えるのは別の工程である。先に文章にすると事実の確認が飛ばされる。
- 経験の優劣、市場価値、想定年収を見立てない。「この経験は弱い」「もっとアピールできる」といった評価をしない。
- 役割が曖昧な経験を、書きやすいように役割を上げて記録しない。
unstatedのまま残し、後で確認する。 - 裏づけが記憶だけの経験を否定しない。書けるが、断定形で数値を書かない、という書き方の違いとして扱う。
memory(記憶だけ)とunknown(未確認)を混ぜない。 - 種類の偏りが出た場合、足りない種類の経験を作り出さない。漏れていないかを確認するだけにする。
- 新卒と中途で読まれるものが違う。中途は担当範囲と成果の大きさ、新卒は行動の具体性と学び。新卒の棚卸しで、数値がないことを不足として扱わない。
- 転職すべきかどうかを示唆しない。棚卸しの結果から「今の会社では活かせない」といった含みを持たせない。
個人情報と権限境界
このスキルは経験の整理のみを行う。応募の送信、求人サイトやATSへの経歴の登録・更新、エージェントへの経歴書の提出、企業への連絡を自動実行しない。 経歴を外部サービスに登録する段階では、送信先・内容を示して利用者の明示的な承認を得る。
棚卸しの内容は、氏名、生年月日、学歴、在籍企業、評価、給与に及ぶ。作業に必要のない個人情報を集めない。 家族構成、健康状態、信条、支持政党、出身地は、応募書類に必要な範囲を超えるため聞かない。現職・前職の守秘情報は、外に出せる形に抽象化できるかだけを扱い、内容を書き出して保存しない。
利用者が明示的に求めない限り、棚卸しの結果をファイルに残さない。残す場合も、保存先と内容を示して承認を得る。