マルチエージェント協調スキル
異なるAI providerから独立意見を得て、共通論点で考えた結果を統合する。 同じproviderの子エージェントを増やすだけの並列処理とは区別する。
重要: このスキルは毎回、最初に利用可能エージェントを検出する。CLIの入れ替わり、ログイン状態、クォータ、環境差を固定表で決め打ちしない。
最初に必ずやること
bash [SKILL_DIR]/scripts/check_agents.sh
このコマンドは、各エージェントに軽いプロンプトを投げ、skills/xs-multi-agent/SKILL.md を読めるかまで確認する。成功判定には固定トークン CHECK_AGENTS_OK を使い、解釈差のある自然言語回答を判定に使わない。各サービスのクォータを少量使う。
軽量にコマンド存在とバージョンだけ見たい時:
bash [SKILL_DIR]/scripts/check_agents.sh --no-smoke
このコマンドは $STATE_DIR/multi-agent/agents.json を作成・更新し、生成したパスを出力する。
STATE_DIR は STATE_DIR="${STATE_DIR:-${WORKSPACE_PATH:-$HOME}/.xangi}" として扱う。WORKSPACE_PATH が未設定なら $HOME/.xangi/multi-agent/agents.json に保存される。設定ファイルはランタイム状態なので git 管理しない。
設定ファイルの見方
available: true: コマンドがPATH上にあり、最低限のバージョン取得に成功ready: true: smoke 実行時に短い依頼が成功ready: false: smoke 実行時にログイン切れ、usage limit、実行失敗を検出ready: null:--no-smoke実行時など、実依頼の疎通は未確認recommended: true: 通常の依頼先候補provider_family: OpenAI / Anthropic / xAI / Google等の独立性を判定する単位- 複数providerのモデルを選べるCLIは、実providerを証明できるまで
unknownとしてpanel票に数えない scope: current_turn: 現在のセッション内だけ有効volatile: true: セッション、チャンネル、モデル、プロンプトで実体が変わるready_agents: 動作確認に成功した外部エージェントusable_agents:ready=trueかつrecommended=trueの標準外部依頼先
利用可能なエージェント
固定表ではなく、scripts/check_agents.sh の検出結果を使う。現在の検出対象:
| ID | 位置づけ | 標準扱い |
|---|---|---|
self |
現在のAIセッション。調整役・統合役 | 候補配列には入れない |
codex |
設計判断、デバッグ、深い推論、コードレビュー | 推奨 |
claude |
広い推論、文章化、レビュー | 推奨(クォータ注意) |
grok |
別視点の設計・レビュー、実装案 | 推奨 |
cursor |
codebase Q&A、plan/ask modeレビュー | 推奨 |
antigravity |
Antigravity CLI | 推奨(smoke pass時のみ) |
追加・削除が必要になったら、scripts/check_agents.sh と scripts/run_agent.sh の両方を更新する。
ワークフロー
0. エージェント検出・設定更新
bash [SKILL_DIR]/scripts/check_agents.shを実行- 出力された
agents.jsonを読む usable_agentsを外部依頼先の基本候補にするready=falseはそのターンでは使わないselfは現在ターンの調整役として扱い、外部依頼先リストには混ぜないready=trueは短いsmoke成功だけを意味する。今回必要なネットワーク、workspace読取、filesystem watchまでは保証しない
例:
以下はLinux / WSLの例。setsid がないmacOSではlaunchdなどservice managerを使う。
CONFIG_PATH="$(bash skills/xs-multi-agent/scripts/check_agents.sh)"
cat "$CONFIG_PATH"
0.5. 依頼プロンプトをファイル化
CLIごとに引用符、改行、長文引数で事故りやすい。依頼内容は /tmp にファイル化し、依頼に必要な最小ディレクトリを明示して渡す。
cat > /tmp/multi-agent-prompt.txt <<'EOF'
<依頼内容>
EOF
短時間の依頼は補助スクリプトで実行する。
bash skills/xs-multi-agent/scripts/run_agent.sh codex /tmp/multi-agent-prompt.txt "$PWD"
bash skills/xs-multi-agent/scripts/run_agent.sh grok /tmp/multi-agent-prompt.txt "$PWD"
bash skills/xs-multi-agent/scripts/run_agent.sh cursor /tmp/multi-agent-prompt.txt "$PWD"
対象workspaceは必須。調整役のworkspaceを既定で丸ごと渡さない。run_agent.sh は空回答、途中終了、permission blocker、filesystem watch失敗を非0終了にする。一定量の根拠が必要なら MULTI_AGENT_MIN_OUTPUT_BYTES=500 のように最小出力量を指定する。
0.75. 目的と成功条件を固定
「みんなで調べて考えて」の既定目的は、単なる作業分散ではなく異なるproviderの見方を同じ判断へ反映すること。
- 調査対象と、最後に全員へ答えてもらう共通の判断質問を決める
- 成功条件は、外部2エージェント以上かつ異なる
provider_family2系統以上が共通のsynthesisへ有効回答すること - 同じproviderの子エージェントを別の一票として数えない
- 分担調査だけで終わらず、検証済み材料を共有して同じ統合質問へ独立回答を取る
1. リサーチモード
調査・情報収集が必要なとき:
- まず自分で初期調査
- 検出済みの推奨エージェントから1〜3個に別視点で調査依頼
- 各成果物が根拠URLまたは対象ファイル、依頼した評価軸を含むか確認する
- 検証済み材料を共通資料にして、異なるproviderへ同じ統合質問を渡す
- 結果manifestを作り、panel検証後に統合する
2. レビューモード
コードや文章のレビュー:
- 自分でまずレビュー
- Codex / Grok / Cursor など、検出済みの推奨エージェントにレビュー依頼
- 重要度順に findings を統合して報告
レビュー依頼時は、各エージェントに「バグ・リスク・回帰・不足テストを優先。好みの指摘は後回し」と明示する。
3. ブレインストームモード
アイデア出し・深い分析:
- 自分でまず考える
- 使えるエージェントに同じ問い、または役割別の問いを投げる
- 意見の相違点・共通点を整理
- 統合した結論を出す
4. 成果manifestとpanel検証
各成果物をファイルへ保存し、TSVへ状態を記録する。
agent_id phase status role evidence_path
codex synthesis success 統合判断 /tmp/synthesis-codex.txt
claude synthesis success 統合判断 /tmp/synthesis-claude.txt
bash [SKILL_DIR]/scripts/validate_panel.sh \
--phase synthesis --min-success 2 --min-families 2 \
"$CONFIG_PATH" /tmp/multi-agent-results.tsv
panelはagents.jsonでready=trueの外部agentだけを数え、同じevidence fileを相対パス・symlink等で複数agentの成果として再利用する行を拒否する。これは実行manifestの整合性ゲートであり、providerの暗号学的な身元証明ではない。
検証失敗時も単独の暫定分析は返してよいが、「みんなの結論」「合意」とは表現しない。成功・失敗したproviderと不足視点をそのまま報告する。
注意
- Codex CLI は最終回答ファイルだけを成果物として返し、大量の探索ログを混ぜない
- Claude Code は対象workspaceでsafe/read-only寄りのツールだけを許可する。認証情報は既にexportされた環境変数を使う。別ファイルから読む必要がある場合だけ、ユーザーが明示した
MULTI_AGENT_ENV_FILEからANTHROPIC_API_KEY/CLAUDE_CODE_MAX_BUDGET_USDを限定して読み込む - Grok CLI はplan mode、memory/subagent無効、read/search/Web取得だけを標準にする
- Cursor Agent はask mode、Autoモデル、明示workspaceを標準にする。非対話実行のため
--trustを使うので、信頼できる対象workspaceだけを渡す - Antigravity CLI はGoogle Geminiモデルを明示したsmokeが
ready=trueの場合だけGoogle provider票として扱う。既定はgemini-3.1-pro-lowで、MULTI_AGENT_ANTIGRAVITY_MODELにより別のGeminiモデルを指定できる。空出力・quota 429・認証エラーを成功扱いしない - 結果は必ず統合して、ユーザーにわかりやすくまとめる
- 各エージェントの意見が違う場合は、両論併記する
- 外部エージェントが0件でも、
selfだけで進める。その場合は「検出したが外部エージェントは使えなかった」と明示する
完了前チェックリスト
check_agents.sh/run_agent.shを変更した場合、PATH上でavailable=trueの全agent IDを実CLI smokeし、成功・失敗理由をagent別に確認した- 各担当の終了コードと最終成果物を確認した
- blocker、途中終了、既知runtime errorを成功数に含めていない
- 調査成果物に根拠URLまたは対象ファイルがある
validate_panel.shで目的phaseの異なるprovider 2系統以上を確認した- 分担調査だけでなく、共通質問への独立した統合回答を回収した
- 検証済み成果だけを統合した
回答待ちのルール
AIアシスタントのセッションは turn-based。外部AIプロセスを起動したまま turn を閉じると、結果回収できないことがある。所要時間で分岐する。
短時間(60秒目安): turn 内で待つ
- 単発の質問・短い回答想定なら
scripts/run_agent.shをforegroundで実行し、同じ turn 内で結果を受け取る - 結果が返ったら統合してそのターンで報告
- 複数エージェントを使うなら、時間を見て1件ずつ実行するか、foregroundで並列起動して同じ turn 内で必ず回収する
長時間(複数分以上想定): 復帰導線を作る
並列に大規模分析させる場合は、turn を跨ぐ前提で組む。
setsid bash -lcで親process groupから分離し、PID・ログ・終了コードを保存する- 開始報告前に
psで別SID/PGIDと生存を確認する - xangi環境なら、子プロセスが終了状態を保存した後に
xangi tool triggerを呼ぶ。定刻確認ならschedule_addを使う - ログパス、復帰方法、確認コマンドをユーザーに伝える
例:
AGENT_STATE_DIR="$(mktemp -d)"
setsid bash -lc '
state_dir="$1"
agent="$2"
prompt_file="$3"
workspace="$4"
echo $$ > "$state_dir/pid"
bash skills/xs-multi-agent/scripts/run_agent.sh "$agent" "$prompt_file" "$workspace" > "$state_dir/output.log" 2>&1
rc=$?
echo "$rc" > "$state_dir/exit"
# xangiでは終了状態保存後に xangi tool trigger を呼ぶ
exit "$rc"
' bash "$AGENT_STATE_DIR" codex /tmp/multi-agent-prompt.txt "$PWD" >/dev/null 2>&1 &
sleep 2
ps -o pid,ppid,sid,pgid,stat,etime,cmd -p "$(cat "$AGENT_STATE_DIR/pid")"
echo "State: $AGENT_STATE_DIR"
「結果が来たら統合します」と書くなら、schedule / trigger / ユーザーへの明示的なハンドオフのどれかを必ず作る。
やってはいけないこと
- バックグラウンドタスクIDを「自走」と勘違いして turn を閉じる
- 結果が来ないまま「統合結果」を報告する
- 存在しない
process poll/process logコマンドを書く selfを外部エージェントとして保存し、次回以降の依頼先にする