Writing Presentations
結論と中身が固まった元原稿(提案文書など)を、聞き手の心が動くプレゼンの読み上げ原稿に仕上げる。AIが説明を書くのではなく、ユーザーの中にしかない具体を対話で引き出し、それを原稿に組むことに専念する。
大原則:説明するな、体験させろ
人を動かすのは説明ではなく、聞き手の頭に浮かぶ「絵」。
- 説明「定例会議は非効率で、時間が無駄になっています」→ 頭には届くが、心は動かない
- 絵「先週の定例、30分のうち25分が、資料の読み上げでした。7人いて、口を開いたのは、2人だけだったんです」→ 場面が浮かび、聞き手が自分で「それは問題だ」と頷く
AIは世界中の文章の平均から書くため、放っておくと誰にでも当てはまる「説明」に寄る。心を動かす具体はユーザーの中にしかない。だからこのスキルは、書く前にユーザーを掘る。
前提:結論と中身が先、心を動かすのは後
このスキルは、ビジネスライティングとして成立した元原稿(結論・根拠・数字)に、心を動かす要素を足すためのもの。
- 提案を通すプレゼンで元原稿がない場合 → 先に提案スキル(writing-proposals)で提案文書を作るよう案内する
- 提案以外(卒業制作の発表・報告など)の場合 → 「何を言い切るか(結論)」と「根拠」を最初の対話で固めてから進む
基本ルール
- 1問ずつ聞く。 まとめて質問攻めにしない
- 固定の質問リストを上から埋めない。 ユーザーの回答を踏まえて、次に掘る場所を変える。回答に場面の気配があれば場面を深掘りし、抽象語(非効率・重要・課題・改善)が出たら、その裏の具体的な場面に戻す
- 答えに詰まる質問には呼び水を添える。 大きな質問を「それは何曜日の、何時ごろですか?」のような思い出しやすい小さな質問に割る
- 選択肢が役立つ質問は選べる質問ツールで聞く(場・TPO・たとえの案の選択など)。エピソードを掘る質問は自由に語ってもらう
- ユーザーは最初にまとめて渡してよい。 元原稿や材料から分かることは聞かず、足りない分だけ掘る
- エピソードを創作しない。 原稿に使う具体は、ユーザーが語った本当にあったことだけ。AIが場面・数字・感情をでっちあげない。盛らない(賭け金と回収の粒度を合わせる)
- ユーザーを否定せず、肯定的な言葉で伴走する
- 手で直させない。 材料が揃ってから一度に出力し、修正は具体を足して出し直す
- 出し直しのたびに、渡された具体が生きているか見張る。 AIは放っておくと、ユーザーの具体を平均的な説明に均してしまう。ユーザーの言葉・場面が消えかけていたら戻す
引き出す材料(インタビューの中心)
元原稿から流用できるもの(結論・根拠・数字)は聞き直さない。足りないものだけを掘る。
絵を浮かばせる材料には強さの順番がある:①自分が実際に見た場面(最強・AIには作れない)→ ②聞き手に身近なたとえ → ③数字・データ(土台として必須だが、それだけでは絵にならない)。まず①を探し、なければ②で補い、③で支える。
| # | 聞くこと | 役割 |
|---|---|---|
| ① | 誰に、どんな場で、何分話すか。何を見せながら話すか | 波の設計・TPO・提示モードの判断 |
| ② | まだ言葉にできていない、実際に見た場面 | 最強の絵。スローモーションで具体化 |
| ③ | その時の心の声(自分や周りは、どう思ったか) | 絵に感情を入れる |
| ④ | 身近なたとえ(聞き手が知っている外の場面) | 体験がない部分の補完。心の声とは分けて聞く。AIが案を出し、ユーザーが選ぶ |
| ⑤ | 弱さ・つまずいた瞬間・半信半疑だった正直な気持ち | 共感の入口(任意。堅い場では無理に出さない。ひと言でいい) |
| ⑥ | そもそも、なぜこれをやりたいのか(Why・原体験) | 「どうなる」と締めを動かす |
| ⑦ | 聞き手の頭に浮かぶ懸念点と、その答え | 気づかれる前に先出しして回収する材料 |
場面の掘り方(絵にする3つのコツ)
- 超具体的にする:場面をスローモーションで見る。「いつ・どこで」「周りに誰がいて、どんな顔だったか」を細かく
- 心の声を入れる:その時、心の中で何と言っていましたか?(①の自分の場面に感情を足す。たとえの本体にはしない)
- たとえる:聞き手が知らないことは、知っていることに乗せる
たとえの位置と中身
たとえはAIが出してよい。ユーザーの体験の創作は禁止だが、みんなが知っている場面へのたとえはAIの得意技。「この困りを、誰でも知っている場面にたとえると?」の案を複数出し、聞き手にいちばん近いものをユーザーに選んでもらう。心の声(③)とたとえ(④)は別物として聞く。
- 位置(必須): 結論 → 理由(事実・自分の場面) → たとえ → 結論を短く戻す。理由の前にたとえだけを置かない(何のたとえか分からず混乱する)
- 中身: たとえの本体は聞き手がすでに知っている外の場面に寄せる。話し手の心の声・内面の比喩だけだと、聞き手の心から距離があり響きにくい
- 役割分担: 心の声は①の場面を補強する。たとえは聞き手の既知に橋を架ける。混ぜない
進め方
- 受け取る:元原稿を読み、6ステップ構成(下記)に仮マッピングする。結論・根拠・数字は元原稿から流用し、足りないもの(絵・弱さ・フック・懸念点)を特定する
- profile を1つ確定する:チューニング欄の選択プロトコルに従う。確定するまで掘りに入らない
- 掘る:足りない材料を1問ずつ引き出す(「引き出す材料」参照)。確定した profile の尺・提示モード・TPO・弱さ上限・先出し懸念に合わせる
- 出力する:6ステップの読み上げ原稿を生成し、Markdownファイルとして保存する。話し方はチューニング欄、場の制約と提示モードは確定した profile に寄せる
- 品質チェック:チェックリストで確認してから渡す(「品質チェック」参照)
ユーザーが「もう十分」と言えば、その時点で出力に進む。
原稿の構成(6ステップ)
引き出した具体を、この弧に流して読み上げ原稿にする。
① フック 絵か問いで、つかむ(15〜30秒)
② 結論 何を提案するか、一言で
③ なぜ 今の困りを、絵で見せる + 放置すると何を失うか(賭け金)
④ どうやって やり方を、短く
⑤ どうなる 変わった未来を、絵で見せる(原体験・Whyをここか締めで回収)
⑥ お願い 承認してほしいことを、はっきり
profile が冒頭に**フレーム(話の種別・相手にしてほしいこと・一息の道順)**を求める場合は、①の前に置く。フレームは悪い差を閉じるためのもので、フックや結論の代わりにはしない。
構成の判断基準:
- 興味 = 知りたい − いま知っている。 この差には「悪い差」(何の話かわからない不安 → 離脱)と「良い差」(続きが気になる → 前のめり)がある
- 結論は隠さない。 隠すと悪い差になる。結論を先に渡すと悪い差が閉じ、「本当に効く?どれだけ変わる?」という良い差が開く。引っ張るのは結論の先だけ
- 良い差を開く道具は3つ:問いかける(乱用注意)/チラ見せする(結論は渡した上で、中身の答えを焦らす)/賭け金を上げる(放置すると何を失うかを具体化。定位置は③なぜ)
- 開いた差は、絵で閉じる
- 絵は結論の代わりではなく、根拠。 絵だけ並べると「で、何が言いたいの」の作文になる。どちらかを残すなら結論
- 場面・ステップの転換では接続の合図を入れる。 それでは/たとえば/なぜかというと、など。合図なしで場面が変わると、聞き手は転換を追えず混乱する。特定の語の連打はしない
- たとえを使うときの順: 結論 → 理由 → たとえ → 結論の再提示。理由の後に差し込む(「たとえの位置と中身」参照)
- 波は短く刻む。 問いを開いたら数十秒〜長くて1、2分で絵で回収する。仕事のプレゼンは、体は帰れないが心は一瞬で離れる場。映画型(最後まで伏せる)にしない
- 山場の絵は1つに絞る。 全部を山にすると、全部が平らになる
- 懸念点は先出しする。 聞き手の頭に浮かぶ懸念・突っ込みどころを、気づかれる前にこちらから伝えて答える
- 引っ張りは、注意の前借り。 見合う絵で返せない引っ張りは「釣り」になり、次から話を聞いてもらえなくなる
出力フォーマット
- 話し言葉の読み上げ原稿として書く。書き言葉や体言止めの連続にせず、チューニング欄の話し方・語彙に寄せる
- 尺・提示モード・口調の硬さ・発話のつなぎ・弱さの上限・先出しする懸念は、確定した profile に従う(目安:話し言葉で1分あたり300字前後。文書併走・ビジュアル主導は、見せている側と重複する説明を削り、口頭のみより短くてよい)
- Markdownファイルとして保存する(例:
プレゼン原稿_定例会議.md)。構成ラベルは見出し、読み上げ本文は地の文で書く。ファイルを保存できない環境では、コードブロックで出力する - 場の制約(profile)→ references/profiles/課長_1対1_5分.md(default。選択プロトコル参照)
- 模範例(任意・存在する場合)→ references/examples.md。構成・文言のコピー元にしない
品質チェック
出力する前に、原稿がチェックリストを満たすか確認する。満たさない項目は直してから出力する。
→ references/output-quality.md
やらないこと
- エピソード・体験談の創作(本人の中にあるものだけを使う)
- スライド資料(ビジュアル)の生成。作るのは原稿=話の中身まで。提示モード(文書併走/ビジュアル主導/口頭のみ)は profile で選ぶが、どれを選んでもビジュアル自体は作らない
- 提案文書そのものの作成(提案スキルの責任範囲)
- 元原稿のビジネスライティングとしての品質担保(入力時点で成立している前提)
- 出力後にサブエージェントレビューを自動実行したり、先回りして案内したりすること(ユーザーが自分で頼む体験として残す)
チューニング欄(あなた専用に育てる)
場を問わず効く型はここに書く。場・相手・関係ごとの制約は references/profiles/ に分け、開始時にちょうど1つ選ぶ。
profile 選択プロトコル(必須)
- 掘る前に profile を1つ確定する。 複数を同時に適用しない
- 選択肢を出して確認する。 ユーザーが場を指定していればそれに合わせる。未指定なら default 候補を示し、了承を得てから使う(黙って default を適用しない)
- 読むのは確定した1ファイルだけ。 SKILL から各 profile へ直接リンクする(一覧用の中間ファイルは挟まない)
- profile は制約として読む。 尺・聞き手・提示モード・口調の硬さ・発話のつなぎ・弱さの上限・先出しする懸念・賭け金の盛り方に使う。構成の型や文言のコピー元にしない(writing-proposals の examples と同じ線引き)
- 合うものがなければ新規 profile を短く作る(聞き手・尺・提示モード・口調の硬さ・発話のつなぎ・先出し懸念・弱さ上限)。先に量産しない
提示モード(profile で選ぶ)
話し方は、聴衆・尺だけでなく何を見せながら話すかで変わる。スライド自体は作らない(「やらないこと」参照)。原稿の書き方だけを切り替える。
| モード | 見せるもの | 原稿の書き方 |
|---|---|---|
| 文書併走 | 提案文・紙・画面上の文書 | 要点の読み上げを避け、文書の余白(背景・絵・懸念の先出し・お願い)を口頭で埋める。聞き手が目で追える部分は短く指す程度 |
| ビジュアル主導 | 図・画面・実物など(言葉より先に目に入るもの) | 画面が担う情報は繰り返さない。惹きつけと補足・判断材料に言葉を使う。一文を長くしない |
| 口頭のみ | なし(資料なし・歩き話しなど) | 完結した読み上げ原稿。数字と境界は口頭だけで足りるように書く |
profile 未記載なら、確定時に上記から1つ選んで確認する。
利用可能な profile
- default 候補: references/profiles/課長_1対1_5分.md(上司・1対1・約5分・文書併走)
自分の話し方(汎用)
- 口調の硬さ(です・ますの度合い、伺い定型、締めのお願い文句)は profile に従う。 SKILL では固定しない
- 発話の長さ・つなぎも profile に従う。 汎用では「正しい短文」にしない。話し言葉として自然な長さにし、電報文の連打にも論文調の長段落にも寄せない
- 結論は隠さず先に言う
- 小説調の比喩・ドラマチックな締めは使わない。絵は具体の場面と心の声で出す
- 数字や賭け金は盛らない。小さい効果は小さいと明示する
profile に口調・つなぎの記載がなければ、確定時に硬さとつなぎ方を確認してから出力する。
使わない表現(汎用)
- 否定語で現状を叩かない:「無駄」「非効率」「間違い」など(writing-proposals と揃える)
- 過度な煽り・カタカナの決め文句:「ゲームチェンジャー」「刺さる」「バズる」など
- 抽象語だけで困りを済ませない:「重要」「課題」「改善」で止めず、裏の場面に戻す
弱さの出し方(原則)
- 創作しない。ユーザーが語った正直な気持ちだけを使う
- 堅い場(上司への伺いなど)では無理に出さない。出すならひと言〜短い心の声まで
- 上限は確定した profile に従う。profile が「出さない」なら出さない
場・相手・関係(個別)
具体の場面リストは SKILL に増やさない。上記の profile を選ぶ。差分比較用のベース原稿は profile 側に制約として蒸留してある(全文の構成・文言はコピーしない)。