ダッシュボードデザインガイド
デジタル庁「ダッシュボードデザインの実践ガイドブック」(2026.3.31更新)の実質をまとめたスキル。完全版は references/guidebook-full.txt に収録。
ダッシュボードの二つの類型
- 提示型:現状を基準と照らし合わせ、異常に気づき、行動の必要性を判断する(本スキルの主対象)
- 探索型:差分を発見し、源流を特定して掘り下げる(ドメイン知識・集中・複雑操作を前提)
作成フロー(3ステップ)
Step 1: 要件の整理
5W1Hで整理する:
| 視点 | 確認事項 |
|---|---|
| Why | 最終的に達成したい目的、ダッシュボードを見る理由 |
| What/So What | 知るべき情報、必要なデータ種類、見た後の判断や行動 |
| Who/When/Where | 見る人(属性・リテラシー)、タイミング・頻度、場所・デバイス |
| How | 求める機能、データ項目、更新頻度 |
制約チェック:
- 情報の種類が多すぎる → 減らす
- 伝える内容が複雑すぎる → 複雑度を下げる
- データに欠損・更新頻度不足・分解能不足 → 回避可能か確認
Step 2: プロトタイピング
- 必要な情報を一覧化し、グラフ候補を選定
- 骨格レイアウトを先に決める(表層の装飾は後回し)
- 関係者に見せてフィードバックを得る(理由・意図まで聞き出す)
- 要望は機械的に全部反映せず、目的に適うものだけ選定
Step 3: 実装とチェック
実装後に下記チェックリストで確認。
情報選定の4原則
- 目的に則する — 目的に当てはまる情報だけ載せる。データ→判断までの距離を縮める
- 分解できる — 全体→部分の階層構造。見る人が読み解ける単位まで分割
- 違いに気づける — 突出データに気づく。変化の時期と傾向がわかる
- 鮮度が高い — 最新データを反映。定期更新の仕組みを構築
レイアウトの基本
- 左上→右下の視線移動に合わせる
- 左上に全体指標、右下に詳細情報
- 背景色で左上を目立たせる
- 16:9画面、縦横6分割グリッド推奨
- フィルターは上部か左部、影響を受ける情報は下か右
グラフの選び方
| グラフ | 表現 | 適する用途 |
|---|---|---|
| 折れ線グラフ | 位置 | 時間変化・傾向 |
| 棒グラフ | 長さ | 数量比較 |
| 面グラフ(積み上げ) | 位置+面積 | 時間変化+構成比 |
| 円グラフ | 角度+面積 | 構成比(総量が明らかな時) |
選び方の判断基準:
- 横軸が時間 → 折れ線 or 面グラフ
- 横軸が分類 → 棒グラフ
- 構成比のみ必要 → 円グラフ
- 構成比の時間変化 → 100%積み上げ面グラフ
- 系列が多い → 棒グラフの方が正確に伝わる
グラフ設計の2大原則
知りたいことを知れる
- シンプルにする(不要な要素・装飾を削除)
- 意味のある順列にする(数量大小順、更新日順など)
- 強弱をつける(重要情報は色・サイズ・太さで差別化)
- 待たせすぎない(読み込み・操作レスポンスを速く)
誤解を生まない
- わかりやすく表記(タイトル・系列名・単位を丁寧に)
- データを定義(対象・数値の意味・更新日を参照可能に)
- 表現を歪曲しない(原点は0、軸範囲を恣意的にしない)
- メタ情報を記載(データソース・更新日・注釈・免責)
カラーパレット(デジタル庁準拠)
7系統: Blue, Light Blue, Cyan, Green, Orange, Red, Solid Gray
コントラスト要件:
- 背景とグラフ色面: 3:1以上(BlueキーカラーならBlue-500=#4979F5以上)
- 3:1満たせない場合 → グラフ色面の近くに数値記載(数値は背景対4.5:1以上)
- それも無理 → マウスオーバー/フォーカス時に数値表示
- 色覚多様性に配慮 — 色以外の識別手段(形・模様)も提供。白黒印刷でも伝わるように
Do's & Don'ts
Do's:
- 全体指標と詳細グラフを併記
- 項目の並び順に意味を持たせる
- 不要な要素・装飾を削除
- 色数を絞る(1〜5色)
- タイトルに内容とデータ種別を記載
- グラフと凡例を隣接させる
Don'ts:
- 3D表現・ドロップシャドウを使わない
- 色だけで分類を識別しない
- 棒グラフの原点を0以外にしない
- 情報を詰め込みすぎない
最終チェックリスト
利用者体験
- 判断・行動に必要な情報が提供できているか
- 全体像を捉える基準指標があるか
- 不要な情報は削除されているか
- 数回の操作で目的が達成できるか
- 利用者が迷わず情報にたどり着けるか
- 複数利用者からのフィードバックを得て改善したか
デザイン
- 注目すべき数値に優先的に目が向くか
- 配列順序が認知しやすいか
- グラフと凡例が隣接しているか
- 比較対象(目標値・前年比など)があるか
- 色数は1〜5色に絞られているか
- 不要な装飾・3D・シャドウを避けているか
- タイトルは誤解のない内容か
- 棒グラフの原点は0か
- データ更新日が記載されているか
テクニカル
- 実環境・デバイスで表示・動作確認済みか
- 読み込み速度は遅すぎないか
データ設計
- 目的に見合ったデータだけを選んでいるか
- 必要な粒度まで分解できるか
- 更新頻度は要件を満たしているか
- 比較できる数値が掲載されているか
- データ定義が参照可能か
アクセシビリティ
- 色だけで情報を識別していないか
- 代替テキストを付与しているか
- データファイル(CSV等)を公開しているか
- テキスト要約版があるか(一般公開の場合)
関連リソース
- デジタル庁政策データダッシュボード: https://www.digital.go.jp/resources/govdashboard
- 完全版ガイドブック:
references/guidebook-full.txt - 要件定義ワークシート(PPTX): https://www.digital.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/1948e3cd-736a-4378-9e31-039b08d11106/08697ee1/20240531_resources_dashboard-guidebook_worksheet_01.pptx
- プロトタイプ作成キット(PPTX): https://www.digital.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/1948e3cd-736a-4378-9e31-039b08d11106/2bff8e00/20240531_resources_dashboard-guidebook_toolkit_01.pptx
- ウェブアクセシビリティ導入ガイド: https://www.digital.go.jp/resources/introduction-to-web-accessibility-guidebook