KiCad回路図レビュー
保存済みのKiCad回路図について、画像、ERC、XMLネットリストを組み合わせて検証する。いずれか一方式だけで合格と判断しない。
1. 指示と作業境界を確定する
- リポジトリ内に
AGENTS.md、README.md、設計ガイド、検証手順書がある場合は最初に読む。 - 「確認」「レビュー」「検証」「説明」ではファイルを変更しない。「修正」「直して」「実行」が明示された場合だけ編集する。
- Gitリポジトリの場合は、作業前に
git status --shortとgit diff --checkを実行し、既存の未コミット変更を記録する。 - 対象の
.kicad_sch、生成元、ローカルシンボルライブラリ、既存ERCレポート、BOMを特定する。 kicad-cli --versionで使用するKiCadのバージョンを記録する。- 対象回路図が明示されていない場合は、プロジェクト内の
.kicad_proと同名の.kicad_schを優先する。複数候補がある場合は、依頼内容と変更履歴から最も妥当な対象を選び、その選択を報告する。
以降の例では、対象回路図を環境変数へ設定する。
schematic="path/to/project.kicad_sch"
review_dir="$(mktemp -d)"
2. 保存済み回路図を検証する
検証出力は原則として一時ディレクトリへ保存し、既存のERCレポートや回路図を上書きしない。
画像による検証
保存済み回路図をSVGへ書き出す。
mkdir -p "$review_dir/svg" kicad-cli sch export svg --exclude-drawing-sheet \ -o "$review_dir/svg" "$schematic"必要に応じてPNG化し、回路図全体と対象ブロックの拡大画像を実際に目視する。
.kicad_schのテキスト、座標、またはネットリストだけから見た目を断定しない。各部品をReference順または機能ブロック順に漏れなく確認する。
特に次を確認する。
- 配線の交差、意図しないループ状経路、未接続に見える短い配線
- junctionの有無と位置
- Reference、Value、ピン名、ピン番号、ネットラベル
- 電源シンボル、
PWR_FLAG、No Connectフラグ - テストポイント、コネクタ、DNP部品
- 文字、部品外形、配線の重なり
ERCによる検証
保存済み回路図に対してERCを実行する。
kicad-cli sch erc \ -o "$review_dir/ERC.rpt" "$schematic"エラーと警告を種類別に数え、電気的問題、未接続、電源駆動、ライブラリ不一致などに分類する。
リポジトリ内の既存ERCレポートと結果が異なる場合は、既存レポートを最新とみなさず差異を報告する。
ERCが0件でも画像検証とネットリスト検証を省略しない。
ERC除外が設定されている場合は、除外理由が文書化され、現在も妥当かを確認する。
XMLネットリストによる検証
KiCad XMLネットリストを出力する。
kicad-cli sch export netlist --format kicadxml \ -o "$review_dir/current.xml" "$schematic"対象ネットを信号源または電源から接続先まで追跡し、期待するReferenceとピン番号が同一ネットに属することを確認する。
電源、GND、シールド、差動信号、通信バス、リセット、クロックなどの重要ネットを優先して確認する。
意図的に分離したGNDやシールド、DNP部品、未使用ピンが誤接続されていないことを確認する。
プロジェクトにネットリスト検証スクリプトが存在する場合のみ、その使用方法を確認して実行する。存在しないスクリプトや固定パスを仮定しない。
BOM確認を依頼された場合は、プロジェクトのBOM生成方法と部品管理方針を確認し、Reference、Value、Footprint、数量、DNP指定をネットリストと照合する。
3. 生成回路図の整合性を確認する
この節は、対象回路図がスクリプト、テンプレート、変換ツールなどから生成されている場合に適用する。
- 生成物だけを直接修正せず、生成元と再生成手順を特定する。
- レビュー中に再生成が必要な場合は、可能なら出力先を一時ディレクトリへ変更し、チェックイン済み回路図を上書きしない。
- 必要なKiCadシンボルパスや環境変数は、プロジェクトの文書と実行スクリプトから特定する。
- 一時生成物にも画像、ERC、XMLネットリストの三方式を適用し、保存済み回路図との差異を報告する。
- KiCadバージョン依存の回避策や極小オフセット、補助ラベルなどを発見した場合は、目的を確認せず削除しない。変更時はERCとネットリストの再合格を必須にする。
4. 修正を依頼された場合
- 問題の根拠を画像、ERC、またはネットリストで記録してから修正する。
- 生成元、ローカルライブラリ、回路図、BOMのうち必要なファイルだけを整合させる。
- 既存の回路構成や命名規則を尊重し、依頼範囲外の整形や再配置を避ける。
- 修正後に画像化、ERC、XMLネットリスト検証を繰り返す。
- Gitリポジトリの場合は、作業後に
git status --shortとgit diff --checkを実行する。 - ユーザーから明示的に依頼されない限りコミットしない。
5. 結果を引き渡す
次の順序で簡潔に報告する。
- 重大度順の問題点と根拠。画像上の位置、Reference、ピン番号、ネット名、ERCメッセージを具体的に示す。
- 実行した検証と各結果。
- 変更した場合は変更ファイル。
- 残る問題、暫定値、実物確認事項、KiCadバージョン依存事項。
- 問題がなければ、その結論と確認できなかった範囲。